インタビュー企画①中田将太

5団にいる同世代の人たちって、自分の芯があるよね。」

今年起業し、美容室に来られない人々への「福祉美容」を広げるべく奮闘している盛岡5OBが、起業の経緯や今後の展望、そしてスカウティングで得たことについて語ってくれた。

 

株式会社TONAN代表取締役 中田将太

 

「地元岩手に貢献したくて、起業という道を選んだ。」

大学生になってすぐは、岩手で仕事を探そうと考えていた。しかし、知り合いにこのことを話すと「岩手にはなかなか仕事が無いよ」と返されたという。それでも首都圏で働く自分は想像できない、やはり岩手に貢献したい。これが起業を考え始めるきっかけだった。

まずはロールモデルを見つけ、そこに入り込むことで様々なノウハウを得ようと決めた。岩手県沿岸のベンチャー企業に長期インターン生として参画し、実際に自分に起業ができるのかどうかを見極めたという。「考えたことをすぐ実行に移した。これが重要だったと思う。」と当時を振り返る。

 

「ビジネスにしないと続かないな、と思って。」

インターン中、常にどういったビジネスを立ち上げるかのアイデアを考えていた。実家が美容室ということもあり、福祉美容に注目した。施設での美容サービスについては、従来はボランティアに頼っていた。そのため選択肢も無く、持続性も低かった。さらに、福祉美容という事業を広げることで、復職しにくいという美容業界の問題の解決にもアプローチできると考えた。その社会貢献性の高さに「これはビジネスにできる。すべきだ。」と自信を持ったという。

 

「明日しか見えてない。」

現在は盛岡を中心に、紫波や雫石にもサービスを展開中だが、今後は県内全域にサービスを広げていきたいとのこと。北東北3県への展開も視野に入れている。また、福祉美容の普及を進めていくのと同時に、美容師が働きやすい環境づくりを目指している。顧客と働き手双方の満足度を高めることによって、岩手を福祉美容の先進県にしたいと意気込む。そのために会社とは別の法人を設立し、ルールや認証について整備していきたいと語る。こうした今後の展望について、彼は「明日しか見えてない。」と締めくくった。

 

「スカウト活動を通じて多様性を認める価値観が身に付いていた。」

違う学校、違う年代の人とのコミュニケーションを通じて、多様性を受け入れる価値観やリーダーシップが身に付いた。「10代で学校のくくりを超えたつながりってなかなか作れないから、スカウト活動は自分にとって貴重だった。あの時の経験は役立っている。ジャンボリーとか経験してたら、もっと見識が広がっていたのかなと思う。」と語る。

最後は5団の同世代の近況を共有した。起業や仕事を通じて様々な人に出会ってきた彼は、他の人と比べて感じるスカウトの特徴を教えてくれた。「5団の同世代の人たちって、自分の芯があるよね。周りの決めたレールに乗りっぱなしじゃなくて、自分の思ったことを行動に移せる。これって自分の知ってるスカウト経験者の特徴だと思う。」

 

プロフィール

中田 将太 (なかた しょうた)

株式会社TONAN 代表取締役

19946月生まれ

「みそっかす」の頃から盛岡5団の活動に参加し、中学校でハンドボール部の活動が忙しくなるまで積極的にスカウト活動を楽しんでいた。不来方高校ではハンドボール全国2位を経験。東京都の大学に進学し、20172月に株式会社TONANを設立。介護施設や障がい者支援施設等にいて美容室に来られない人々に向けて福祉美容を提供している。

 

20171227()

 

インタビュアー:加藤大貴